2015年5月28日木曜日

公開講座第1回目の内容「国家・「ネーション」とはなにか―かつての「グローバル国家」スペインと今の「地方」カタルーニャ・バスク―」

いよいよ来週から本学の50周年記念公開講座が始まります!
1回目は、本学の渡部哲郎教授による「国家・「ネーション」とはなにかかつての「グローバル国家」スペインと今の「地方」カタルーニャ・バスクです。

本講座は受講料無料、申し込み不要で、当日直接会場にお越しいただければ受講できます。
ぜひお気軽にお越しください。
全体のテーマは「現代の課題:グローバル化とナショナリズム―ヨーロッパおよび東アジア―」で、各回もそれに関連した内容になりますが、お好きな回だけ受講していただくことも可能です。

<第1回目概要>
6月6日(土)10時~12時 横浜商科大学つるみキャンパス1号館3階132教室
申し込み不要(当日直接会場にお越しください)、受講料無料

<要旨>
「グローバル化」「ナショナリズム」を現代の課題として問う。
スペインは、「グローバル化」については「かつて」を付加したように過去の「大国」を持ち出すことになる。

スペインが16世紀には人類史上最初の世界帝国になったことは事実であり、17世紀に衰退が始まり、1819世紀にはその存在感が低下したのも歴史が物語っている。
その盛衰の原因を探求し、成果を報告することも今日のテーマに相応しいかもしれないが、今回はその明白な「事実」よりも「大国」意識が途切れることなく続いていることに注目したい。
「アメリカ」「アジア」はスペインにとってはキリスト教布教の対象であり、そのためにイベリア半島と同じ言語と文化を持ち込んで一体感を創生して「共有」「共存」に成功した。
その証拠に今日でも「メンタリティの同時性」は維持され、共通の言語を持つ国と地域がスペイン国王主宰の下に毎年集まっている(イベリアメリカ首脳会議)。
それにカトリック世界において最も信者数の多いのは中南米である。

このような同じ言語・文化を共有する「安易さ」が景気に左右される移民を可能にし、「近代人」精神の形成を遅らせて、以後の経済発展に結び付かなかった一因に取り上げられる。
言語・文化による結合の形態は、15世紀末「スペイン統一」の際にも曖昧さを残す結果になった。
それゆえに、均一な国家統合に失敗し、地方・地域の豊かさを残す結果にもなった。

今日の「地方ナショナリズム」も「大国」意識と植民地との関係に比して見ることができる。本講座の開始に、「ネーション」の捉え方について近代以前と以後の比較から先ずは検討する。


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